日常茶飯事<step>10
明日から待ちに待った夏休みだ!!
まだ何も聞いてないけど、今年も総ちゃんの実家に行くのかなぁ・・・?
行くんなら8月になってからがいいな。
7月中は侑也達と遊ぶ約束してて、それで今日は早速涼一と遊ぶんだ。

「ただいまーーーっ!!」
「おかえり。
 暑いのに元気がいいね。」
だって明日から夏休みだもん!!
「のど渇いた〜!!」
キッチンに駆け込んだ僕は、麦茶を一気飲みした。

「瀬奈っ!!
行儀が悪いよ。コップに移して飲みなさい。」
「ちょっとくらい、いいじゃない。
 どうせ僕と総ちゃんしか飲まないんだし。」
今日は中沢さん、お休みだしね。
それに総ちゃんは麦茶はほとんど飲まないし。
「通知表もらったでしょ?どうだった?」
帰ってきていきなりそんな話!?
「総ちゃんが期待するほどの内容じゃないよ。」
僕はカバンから通知表を取り出した。
「別に期待はしてないけど・・・。」
してないけど、何?
「オール3だよ。」
5段階の“3”だもん、ちょうど真ん中で普通だよね。
小学生の時は“2”もあったから、それに比べれば成績もアップしてると思うんだ。
「そうだね・・・。
 “2”がなくてよかったね・・・。」
総ちゃん、本当は少なからず期待してたんじゃ・・・?

「瀬奈、ちょっと早いけどお昼食べる?」
「後でいいよ。
 僕、シャワー浴びてくる。」
死にそうなくらい暑いのに、ご飯なんて食べる気しないよ。
それに汗だくで帰ってきてるんだから、ベタベタになったシャツを脱ぎたい。





「総ちゃん、涼一ん家へ行ってくるね。
 総ちゃんも早くご飯食べたら?」
お昼ご飯を食べ終わった僕は、書斎にいる総ちゃんに声をかけた。
「うん、後で食べるよ。
 門限には遅れないようにね。」
「そのことだけど総ちゃん・・・。今夜、涼一ん家に泊まっていい?」
「え?ダメだよ。
 前から外泊禁止って言ってるじゃない。」
もう中学生なんだからOKしてくれたって・・・。
それに友達の中には毎週のように、友達の家を泊まり歩いてるヤツだっているのに・・・。
「でも明日から夏休みなんだしいいじゃない。」
「だから余計ダメ!!
 瀬奈はすぐ羽目を外したりするし、とにかく今はまだダメ。」
「そんなことないし、それにそこまで子供じゃないもん!!」
「子供じゃないなら、言ってることがわかるでしょ。」
「・・・・・わかったよ。」
とにかく今は、大人しく返事をしておこう。
「じゃあ行ってくる。」
総ちゃんと顔を合わせないように書斎のドアを閉めた。







「瀬奈、帰んなくていいの?」
「え?もうそんな時間?」
涼一と、ずっと戦闘ゲームの対戦してたら、気付かないうちに夕方になっていた。
でも全然クリアできてないんだよね。
対戦したり、通信で一緒に攻撃したり。

「涼一・・・。泊まっていい?
 ご飯はコンビニで買うから。」
「え?ああ・・・俺ん家は構わないけど、瀬奈ん家はいいのか?」
「うん、大丈夫だよ。」
後でメール入れとこ。
総ちゃん怒るだろうなぁ・・・。帰ったらお仕置きかなぁ。
まさかとは思うけど、迎えに来たりなんてことはないよね・・・?
でも万が一迎えに来たら、その時は大人しく帰ればいいか。



はぁぁ・・・やっぱり・・・。
総ちゃんにメールしたら、今から帰っておいでって返信が来た。
もう中学生なんだし、涼一ん家にいるってわかってるんだから泊まったっていいじゃない。
ってことで、メールは無視することにした。
今から帰ったってお仕置きはされるんだから・・・。
「涼一、もう1回対戦しよう。」
「うん。」
総ちゃん、迎えに来るかな・・・。







総ちゃんのことを、ずっとドキドキしながら考えていたのに、結局メールはあの返信だけだったし、電話をかけてくることも、ましてや迎えに来ることもなかった。
外泊を、あっさり許してくれたみたい。
それとも・・・すごく怒ってる・・・のかなぁ・・・?

そんなことを考えたり、涼一と遅くまでゲームをしたり喋ったりしてたら、寝たのが明け方で、起きたらとうにお昼を過ぎていた。





昨夜は初めての外泊でワクワクして、気分も盛り上がってたから気にならなかったけど、いざとなるとやっぱり家に入り辛いなぁ・・・。
「・・・・・。」
僕は意を決して、無言のまま恐る恐る玄関のドアを開けてみた。
「・・・・・。」
よかったぁ。
玄関で待ち構えてるんじゃないかと思ったけど、いつ帰ってくるのかわからないのに、いくら総ちゃんでもそこまでしないよね・・・。
でも、そうすると何だか総ちゃんと顔を合わせ辛いなぁ。
外泊のこと、やっぱり僕から謝った方がいいかな・・・。
ああ・・・でもそれだったら、自分からお仕置きしてもらいに行くようなモンだし・・・。
「・・・おかえり。」
「わぁっ!!」
そんなことを考えながら玄関を上がったら、ちょうど総ちゃんが書斎から出てきた。
「外泊はダメって言ってあったよね。」
「・・・う、うん・・・。」
声が怒ってる・・・。それもかなり・・・。
「それじゃあいちいち言わなくてもわかるよね?」
「ご・・・な、何のこと・・・?」
僕のバカッ!!
“ごめんなさい”って言うつもりが、どうして全く違う言葉になっちゃうわけ!?
「お仕置きをするからこっちへおいで。」
「やっ・・・。」
総ちゃんは僕の腕を掴むと、引き摺るようにリビングへ向かった。

「待っ・・・総ちゃん!!
 友達ん家へ泊まるくらいいいじゃない!!」
違う・・・言いたい言葉はそうじゃない・・・。
「何度もダメだって言ってるじゃない。」
「でも・・・。」
「言い訳も言い分も聞かないよ。」
「やぁぁっ!?」
総ちゃんは、ソファーに腰を下ろすと同時に、僕を膝の上に引き倒し、お尻を剥き出しにした。
「痛っ!!やっ・・・痛い!!」
手を振り下ろすのも早くて、本当に聞く耳持たずって感じ・・・。
「やだ、総ちゃん!!
 痛い!!やめて・・・痛い痛い!!」
いつもの比じゃないくらいテンポも速くて、手加減なんて絶対してくれてそうにない。
「ひゃっ!!痛ぁいっ!!
 っく・・・やっ・・やだ・・・痛っ、あっく!!」
思わず腰が引けちゃうけど、僕が思ってるのと違うところに手が当たって、余計痛い!!
「やめて!!もうやだ!!
 痛い・・・やめて・・・やめてっ!!痛ぁーーーいっ!!」
「どれだけ心配したと思ってるの!!」
「そ、そんなこと・・・痛っ!!
涼一ん家に泊ま・・ひゃぅっ・・って言って・・のに・・・あぁっ!!」
それなのに、どうして心配なわけ!?
「心配したって言ってるのに、どうして“ごめんなさい”が言えないの!!」
「だ、だって・・・いったぁーーーいっ!!」
本当は僕だって、言わなきゃって・・・謝らなきゃってわかってるよ!!
「言ったって・・・っく・・・総ちゃ・・は・・・口先だけだって言うじゃない!!」
それなのにどうしても言い訳の言葉や、反抗的な言葉が出ちゃう・・・。
「それは本心じゃないってわかってるからだよ。」
でもさっきの言い方じゃ、謝ればいいみたいな言い方じゃないか。

「あっ!!ひゃっ・・・痛っ!!」
ジタバタもがいても総ちゃんの膝から逃げ出せるはずもなく、いつもの如くズボンとパンツがだんだん下がっていくだけだ。
「も・・・やだぁ!!
 総ちゃん・・・ふぇっ・・・やめて!!痛い・・・ぅえっく・・・痛い痛いぃっ!!」
お仕置きをされるのはわかってたけど、でもやっぱり痛くて、勝手に涙が出てきちゃう・・・。
「やっ・・・ご、ごめ・・ごめんなさいっ!!」
痛くて、ずっと握り締めていたクッションに顔を埋めた・・・。
「・・・全く・・・。
 瀬奈はいつも痛い思いをしないと“ごめんなさい”が言えないんだから・・・。」
「・・・ふぇぇっ・・・?」
声が、いつもと変わらないけど、もう・・・怒ってないのかな・・・?
「瀬奈を全く信用してなくて外泊禁止にしてるんじゃないんだよ?
 瀬奈と一緒に暮らし始めたのはほんの3年前なんだから、俺としてはできるだけ瀬奈と一緒に過ごしたいんだよ。
だからせめて義務教育の間は家にいて欲しいんだ。」
それなら・・・最初からそう言ってくれればいいのに・・・。
でも・・・一度は体験してみたかったから、言われてもきっと外泊はしたかな・・・。
「・・・ごめんなさい。」
「うん・・・。
 でも今度外泊したら、これくらいじゃ済まさないからね!?」
「った!!」
もう終わったと思ってたのに、また1発叩かれた・・・。
膝から下ろしてもらえるまでは油断しちゃダメだね・・・。







でも友達と外泊なんて小学校の修学旅行以来だから楽しかったなぁ。





2007年09月16日(日) 09時42分00秒 公開
■この作品の著作権は如月 深雪にあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
相変わらず季節はずれなネタです・・・。
およそ1年半ぶりの<step>で、やっと10話。(笑)


<<戻る
作品編集PASSWORD   編集 削除