日常茶飯事<next>21−3
「総ちゃん、バイト行ってくるね。」
「もう行くの!?」
いつもより2時間も早いじゃない。
「うん、侑也が今日は買い物に付き合ってくれって。」
「侑也は来てるの?」
どこへ連れて行く気だ!?
「うん。」
瀬奈は俺のモノなんだから、侑也と2人きりになんてさせたくない。

「侑也、俺も連れて行け。」
「えっ!?」
「冗談だよ。
 “ロダン”まで乗せて行ってよ。」
“ロダン”てのは近所にあるケーキ屋だ。
「はい・・・いいですよ・・・。」
由奈のおやつにケーキを買おうと思っていたから、ちょうどいい。



「着きましたよ。
 待ってて送りましょうか?」
信号に引っ掛からなかったからもう着いたか。
「いや、歩いて帰るよ。
 瀬奈。」
助手席から後部座席にいる瀬奈を呼び、後頭部に手を掛け引き寄せる。
瀬奈を侑也の隣になんて座らせたくない!!
「何?・・・んんっ!?」
まさか侑也の前でするとは思ってなかったらしく、かなりびっくりしている。
「いってらっしゃいのキス。
 侑也、瀬奈に手ェ出すなよ!?」
「はいはい、わかってマスよ・・・。」



「うっ・・・ぷ・・・。」
くそ〜〜〜!!
侑也のヤロー、ドアを閉めたとたん、空ふかしして急発進しやがった!!





「ただいまー。」
由奈が帰って来た。
今日は6時間目まであったとはいえ、いつもの6時間より遅かったな。
「おかえり。
 冷蔵庫にケーキがあるから、チョコレートの1つだけ食べていいよ。」
チョコケーキは、今日買った中で一番小さいサイズだから、1個なら夕食に響くことはない。





え!?もう7時半!?
原稿に熱中していて、夕食の時間が少し遅れた。



「由奈、晩ご飯食べようか。」
「うん・・・。」

今日は煮込みハンバーグか・・・。
瀬奈のヤツ、それで昼間、玉葱に泣かされていたんだな。
いつもはレンジで温めるだけのハンバーグのくせに、ちょっと怒ったフリすれば、いつもは手抜きな家事を一生懸命するんだから。
「ふふっ・・・。」
かわいいなぁ。

「パパ・・・。
 一人で何笑ってるの?
 ブキミだよ?」
「な、何でもないよ・・・。」
しまった、由奈がいたんだ・・・。



「由奈、おいしくない?」
さっきから、ほとんど食べてないじゃないか。
いつもは手抜きしてるけど、瀬奈の料理はそのへんの女の子より上手だ。
今日のハンバーグだって、決してマズくはない。
しいて言えば、玉葱が少し多いくらいか?
「おいしいよ?」



「ああっ!!セイ、バカ!!そんな所に・・・。」
最近やっとトイレを覚えたと思って安心してたら・・・。
大型犬だから量も多い・・・。
「僕が片付ける・・・。」
「いいからさっさと食べてしまいなさい。」
いつもはセイのトイレの世話なんて絶対しないのに、今日はどういう風の吹き回しだ?



ふう、やっと拭き終わった。
「由奈、食べ終わった?」
「うん。
 食器洗い機にセットして、スイッチ入れた。」
「そう。」

<グゲッ・・・ゲェゲェ・・・>
な・・何!?
「セイ!?」
うわぁぁ〜〜〜!!今度は吐いてる〜〜〜!!

え・・・?
これって・・・ハンバーグ!?
丸飲みしたのか、ほぼ原型のまま吐いてる・・・。
あれ?ハンバーグなんて・・・。

「由奈、ちょっと。」
部屋に行こうとしている由奈を呼び止める。
「な・・に・・・パパ・・・。」
「セイにハンバーグ食べさせたでしょ?」
「あの・・・えっと・・・落ちた・・から・・・。」
明らかに動揺している。
「だから食べさせたの?」
「う・・うん!!
 セイが勝手に食べたの。」
かなりあやしい。
「そう、話があるから部屋で待ってなさい。
 片付けたら行く。」



「由奈、入るよ。」
机に向かったまま、こっちを見向きもしない。

「話があるからここに座って。」
ベッド横の、ラグを敷いてあるスペースを指差す。
俺の顔色を窺うように、上目遣いにおずおずと床に正座した。

「先に聞くけど、何か言うことはない?」
「・・・・・。」
まだ何も言ってないのに、どうして泣くかな・・・。

「セイに・・・動物に、玉葱や葱を食べさせたら中毒を起こすんだよ。
 ハンバーグには玉葱が入っているから、食べさせちゃダメなんだ。
 運が悪いと、死んでしまうこともあるんだよ?」
「・・・えっ・・・?」
「ハンバーグは由奈が食べさせたんでしょ?」
「・・・・・。」
返事の代わりにコクリと頷く。


「1個だけって言ったケーキを3個も食べるから、ご飯が食べられなくなるんだよ。」
「・・・だって・・・。」
「食べちゃダメって言ってるんじゃないよ?
 ご飯前だから1個だけって言ったんだ。」
「うっ・・うえぇ〜〜〜ん・・・。」
「言ってることがわからない?」
「うっ・・ううん・・・うぇっく・・・。」
わかってるのにどうして聞けないかな。

「じゃあお仕置きをするからここへおいで。」
自分の膝を指差す。
「や・・やだっ!!」
わかりきった反応に返事と同時に腕を引っ張り、膝に押さえ付け、お尻を剥き出しにする。

「嫌・・・パパ・・・嫌だぁ〜〜〜・・・。」
フォローのつもりで買ったケーキが、全くフォローになってないじゃない。
瀬奈の分や自分の分まで買わなきゃよかった。

「痛ぁい!!」
そういえば瀬奈にも似たようなことで、お尻を叩いたことがあったな・・・。
「うわぁぁ〜〜〜ん。」
ホント、最近瀬奈に似てきたな・・・。
小さい頃にしっかり躾けたはずなのに。

「うえっ・・く・・・痛い〜・・・も・・・やめてぇ・・・。」
「ちゃんと反省できたらね!!」
このまえキツめにお仕置きしたから、今回もされると思ってるのかな。
随分手加減してるのに。

「ふぇっ・・・えっく・・・ごめんなさぁ〜い・・・。」
「今度からおやつの食べすぎには気を付けなさい。」
「う・うん・・・。」
「返事は“はい”だ。」
「は・・はい・・・。」
最後の一発だけ強めだ。
「痛いぃっ!!」
赤くなったお尻に平手の跡が付いてちょっとかわいそうだけど、数十分もすれば赤みは取れる。


下着とズボンを穿かせると膝から下ろした。
「宿題してたの?」
「うん・・今日は漢字ドリルだけだから・・・。」
「宿題が終わったらお風呂に入りなさい。
 瀬奈が泡風呂の素を買ってきたから、それを入れてもいいよ。」
「パパと・・・一緒に入りたい・・・。」
「いいよ。
 じゃあ、宿題が終わったら書斎にいるから声をかけて。」
「うん!!」

2005年09月12日(月) 11時39分49秒 公開
■この作品の著作権は如月 深雪にあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
作者からのメッセージはありません。


<<戻る
作品編集PASSWORD   編集 削除