日常茶飯事<next>23
「瀬奈、今週から新人入ったんだ。」
「あ、そうなの?
 良かったね、人手不足解消しつつあるんじゃない?」
今日はバイト日で、侑也と店へ向かう車の中。

「でもさ、それがまた瀬奈並みにどんくさいヤツでさ・・・。」
“僕並み”は余計だよ!!
「ふ〜ん・・・。」
「関西人で客のウケはいいんだけど、うるさすぎ。
 それに俺より1つ上だから、ちょっとやりにくいんだよな・・・。」
「う・・・うん・・・。」
“やりにくい”のはお仕置きだね・・・。

「あ、じゃあヘルプでも僕が“先輩”になるの!?」
「そりゃそうだよ。」
やった〜〜〜!!
やっと先輩ヅラできる〜〜〜!!

「なんて名前のヤツ?」
「源氏名は“キョウ”
 本名の“ケイ”が京都の“京”の字だから。」
「キョウくんね・・・。」
ん?
京都の京でケイ・・・?
どこかで・・・。





「瀬奈、紹介するよ。
 これがキョウ。
 キョウ、週末だけ来てもらってるセナだよ。」
「・・・セナって・・・瀬奈?」
「あっ!!
 やっぱり京ちゃん!?」
「偶然やな〜!!
 けど、なんでホストなんかしてるんや!?」
「んんっ・・・。」
横で侑也が大きく咳払いをする。
“なんか”てのが余計だよ・・・。
「京ちゃんこそどうしてこっちにいるの!?」
「俺は・・・会社が倒産したんや。
 この不況で再就職先も見つからんし、家におったら兄ちゃんのお荷物になるさかい、それでっちに出てきたんや。」
「僕も無職になって・・・今は家に戻ってるけど・・・。」
「あ、零に聞いた。
 家で家事してるんやろ?
 総ちゃんは財力あるよってんええなぁ・・・。
 あ、イヤミちゃうで!?」
イヤミというより、僕がバカにされてるような・・・。
「で、なんでホストやねん。」
「侑也に・・・店長に頼まれたんだよ。
 京ちゃんも昔、一緒に遊んだことあるよ・・・。」

京ちゃん兄弟は中学を卒業するくらいまでは、毎年遊びに来てたから、侑也や涼一達とも一緒に遊んだことがあるんだよね。
「「え!?」」
「店長って瀬奈のツレやったんか!?」
「京ってあの三つ子か!?」
「うん・・・。
 総ちゃんの従兄弟の三つ子・・・。」
「そうか、総司郎さんの従兄弟か・・・。
やっぱりどんくさいのは瀬奈の身内だけあるな・・・。」
いや・・・血が繋がってるのは総ちゃんとで、養子の僕とは何の繋がりも・・・。

「今どこに住んでるの?」
「寮や。」
あ、そうか・・・。
『新鮮組』が入ってるこのビルの5階のワンフロアを、寮として借りてるんだっけ。



「おい、店内にまで聞こえてるぞ。」
つい話し込んじゃって盛り上がったから、声も大きくなっちゃったかな・・・。
「それにキョウ。指名だ、何回呼ばせるんだ!?」
「わ、はい。
 すいません!!」
「瀬奈、奥へ行って。」
「え?」
奥って・・・奥の部屋?
あそこは俗に言うお仕置き部屋・・・。

「侑也・・・僕・・・何も・・・。」
「いくらヘルプとはいえ、仕事中だということを自覚してほしいね。」
「う・・うん・・・ゴメン・・・。」
「俺、これでも店長なんだけど?」
「うん?」
「はぁぁ〜〜〜・・・。」
何・・・?そのため息は・・・。



「お尻出して。」
侑也がデスクの引き出しから物差しを取り出しながら淡々と言う。
「だって・・・そういうのは・・・総ちゃんに連絡することになってるんじゃ・・・。」
侑也にやられるより、総ちゃんにされる方が・・・。
「俺の愉(たの)しみを、易々と総司郎さんに渡したくないね。」
た、愉しみって・・・。

「待って・・・侑也・・・。
 バイト代いらないし・・・だから、やめて・・・。
 総ちゃんにも言わないで・・・。」
「この仕事を何だと思ってるのさ!?
 このこともきっちり総司郎さんに話しとくよ・・・。」
ええ〜〜〜!?
さっきより立場が悪くなってる〜〜〜!!

「そんな・・・侑也ぁ〜。」
「店にいる限りは“店長”と呼んでもらいたいね。
 早くお尻出して。」
「・・・・・。」
「ほら。」
僕が躊躇していると、すかさず腕を引っ張られて、デスクにうつ伏せに押さえ付けられた。

「やぁ・・・。」
「・・・・・。
 変な声を出すのは総司郎さんの前だけにしてくれ・・・。」
「侑也・・・店長・・・やめて・・・嫌だ・・・。」
侑也の手が前に回り、スラックスのボタンに指がかかる。

「じっとして。
 おとなしくしないと人を呼ぶって言ってあるだろ?」
「うう・・・。」
ひゃ〜・・・裸のお尻が空気にふれて冷たい・・・。

「30ね。」
ええっ!!そんなに!?

「痛いいっ!!」
物差しって乾いた軽い音のくせにやたらと痛いんだ。
「大きい声出すと店内に聞こえるよ?」
そうだった・・・。

「いっ・・・つぅ・・・。」
うぅぅ〜・・・ピリピリする〜〜〜!!

「あぁあ・・・痛い・・・。」
独り言のように言葉が口をつく・・・。
「これ持っとく?」
クッション?
よく・・・総ちゃんに持たされたな・・・。

「うっ・・・ん・・・っくぅ・・・。」
声を漏らさないようにクッションに顔を埋めてみる。

「痛っ・・・。」
声が篭(こ)もる・・・。


「店長、セナに指名が入ってます。」
「ああ、すぐに行かせる。」
やった、終わり!?

「うっ・・・ぎゃあぁぁ〜〜〜!!」
残りの数発を勢いよく立て続けに振り下ろされた・・・。





京ちゃんも閉店後お仕置きされていた・・・。
大人になって、那由他兄からされることもなくなって、もうお仕置きとは無縁だと思っていたらしい。

2005年09月12日(月) 11時41分50秒 公開
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■作者からのメッセージ
京の三つ子ストーリーは『完結』にある『関西弁講座』です。


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