日常茶飯事62
ゆうちゃんが、魚を持って遊びに来た。

「勇一郎、何だよコレは。」
「本名で呼ぶなって言ってるでしょ!?
見てわからない?
 水槽に入った熱帯魚じゃない。」
わ、ダイヤの形した魚だ。なんて言う魚かな。
「だから何のためにウチへ持って来たんだ!!」
「そんなの決まってるじゃない。
 アンタにプレゼントするためじゃない。」
「いらねぇ!!
 持って帰れ!!今すぐ!!」
総ちゃん、魚嫌いなのかな・・・。
「嫌よ。
 私ももらって迷惑してるんだから。」
こんなに綺麗な魚なのに、いらないのかなぁ。





「じゃあちゃんと世話してね。
 死なせたらタダじゃおかないわよ!?」
「だったら自分で世話しろよ・・・。」
「嫌よっ!!じゃあね!!」
捨てゼリフを残してゆうちゃんは帰って行った。

「総ちゃん、この魚、何ていう名前?」
「“ゴールデンエンゼルフィッシュ”って言ってたよ。
 熱い国の魚だから、ヒーターを入れて水温を27度くらいにしないといけないんだって。」
「ふ〜ん・・・。」
何だか面倒臭そう・・・。
でも金色できれい・・・。



ちょっと触ってみたいな・・・。
わ、あったかい水だ。
そういえば総ちゃん、水の温度は27度って言ってたよね。
「あっ!!
瀬奈、触ったらダメじゃない。
 死んじゃったらかわいそうでしょ?
 熱帯魚は見るだけね。」
「うん・・・。」
あ〜あ、犬や猫ならいっぱい触れるのに・・・。





そういえばあったかい水だったんだよね。
いいこと思いついちゃった!!
さっそく用意しようっと!!



うん!!準備OK!!
総ちゃんは今お仕事してるし、中沢さんは夕ご飯の準備中でキッチンにいるし。
魚を連れてこようっと。

ふふ・・・お風呂に入れれば水の中だから、ちょっとくらい触っても大丈夫だもんね。
多分。

水槽よりずっと広いから、すごく楽しそうに泳いでる。
「わ、くすぐった〜い!!」
体をつつきに来る〜。
僕も楽しい!!

でも慣れないとこに長い時間置いておくのもかわいそうだから、今日はこれくらいにしてまた今度、魚と一緒に入ろうっと。
後でお風呂に入るから、その時でいいやって思ってたけど、やっぱり体を洗わないと魚臭いかな・・・。





「きゃあぁぁ〜〜〜っ!!」
中沢さんの悲鳴だ。
何に驚いたん・・・あっ!!
体を洗ってたから、魚をそのまま浴槽に忘れて来ちゃったんだ!!

「瀬奈っ!!」
うわ、やっぱり来た。
「どうしてお風呂に熱帯魚がいるの!!
 早く片付けなさい!!」
「や・・・総ちゃん痛い・・・。」
僕の部屋へ入って来ると、僕の腕を引っ張ってお風呂へ連れて行った。

「浴槽はちゃんと洗剤をつけて洗うこと。
 中沢さんに聞けばどれを使えばいいかわかるから。
 片づけが終わったら書斎へ来なさい。」
「・・・はい。」
いつもはリビングなのに、今日は書斎か・・・。
総ちゃん、お仕事が忙しくて余計怒りっぽくなってるのかな・・・。





総ちゃんのことだから、絶対お尻を叩くよね・・・。
それがわかってて自分から総ちゃんのとこへ行くなんてヤだな・・・。
このまま自分の部屋に戻ろうかな・・・。

「わっ!?」
書斎の前でどうしようか迷ってたら、いきなりドアが開いた。
「何してるの。早く入りなさい。」
「・・・・・。」
どうして僕がいるってわかったんだろ・・・。



「熱帯魚は触っちゃダメって言ったよね。見るだけだって。
 なのにどうしてすぐ約束を破るの!!」
いつものごとく、椅子に腰掛けた総ちゃんの前に立たされてる。
「触ってないもん・・・。
 一緒に泳いだだけだもん・・・。」
水槽からお風呂へ運ぶのだって、ちゃんと網ですくってバケツへ入れたもん。
「屁理屈を言うんじゃない!!
 水槽は熱帯魚が過ごしやすい環境にしてあるんだから、水槽から出すこと自体が間違ってるの!!」
「だって・・・。」
「なんともなかったから良かったけど、死んじゃったらかわいそうでしょ。」
「水温・・・一緒にしたから大丈夫だもん・・・。」
「瀬奈!!」
「やっ・・・。」
総ちゃんは僕の腕を掴むと、そのまま僕を自分の膝に引き倒した。
「お尻を叩かないと反省できないの!?」
「やだっ!!下ろして・・・。」
「反省しないから下ろせない。」
そう言って手早くズボンとパンツを引き下ろした。
「してるよ!!反省してる!!やめてーーーっ!!」



「嫌っ!!痛いっ!!やめて・・・ごめんなさい!!」
魚でちょっと遊んだだけなのに・・・。
「痛いぃっ!!」
魚が死んだわけじゃないのに、こんなにいっぱい叩かなくったって・・・。
「総ちゃ・・・やだ・・・痛いよぉ〜・・・。」
我慢できなくて足をバタバタさせてみても逃げられないし、余計痛くされてるみたいだ・・・。

「痛ぁい!!ごめんなさい・・・反せ・・してるよ!!もぉやめて・・・わぁぁ〜〜〜ん!!」
結局、いつも泣いちゃう・・・。
「瀬奈はいつも先に言い訳するよね。
 それで本当に反省してるの?」
叩く手を止めた総ちゃんが、呆れたように言った。
「し、してる・・・うぇっく・・・してる・・もん・・・。」
総ちゃんがお尻叩くから、叩かれたくないから言い訳が先に来ちゃうんだ。
「うわぁぁ〜〜〜ん・・・。」
「よその人に迷惑かけたんじゃないからこれ以上はお仕置きしないけど、でも言い訳したり、嘘をついたりするのはやめなさい。」
「・・・ぅん・・・。」
あっさりと膝から下ろして、パンツとズボンを穿かせてくれた。





次の日の朝、5匹いた熱帯魚が1匹死んでたけど、やっぱり僕がお風呂に入れたからかなぁ・・・。

2005年10月25日(火) 10時25分13秒 公開
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■作者からのメッセージ
『日茶』ネタが尽きてきたわ・・・。


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