日常茶飯事<next>30
一度セイと一緒に寝てみたかったんだ。
瀬奈はアルバイトに行ったし、パパは明日が締め切りだからって、ずっと書斎に篭ってる。
だから今日はチャンスなんだ。

「セイ、おいで。」
<ウォン!!>
「しーーーっ!!
 静かにして・・・。」
セイはいつもリビングや階段の下で寝ていて、今日はリビングにいた。
リビングはパパの書斎に近いから、大きな声で吠えられるとパパに気付かれちゃうかもしれない。
セイはちゃんとシャンプーもブラッシングもしてあるのに、ベッドに入れちゃダメだって言われてる。
おしっこをするかもしれないし、抜け毛が布団やパジャマに付いちゃって汚いからだって。
子犬の頃ならトイレの心配があったかもしれないけど、もう随分大きくなったから大丈夫だと思うんだけどな・・・。



「セイ、こっちこっち。早く。」
<ウォン、オン!!>
「しーーーっ!!
 吠えちゃダメだってば。」

「セイの毛って、ふかふかしてあったかいね〜。」
シャンプーは週に一回、美容院でしてもらうけど、ブラッシングは毎日パパと僕がしている。
だいたいセイをもらったのは瀬奈なのに、瀬奈はたまに散歩に行くくらいで、他は何もしないで、給餌にトイレの世話なんかは、いつもパパがしてるんだよね。
「ほら、ベッドへおいで。」
<クゥ〜ン・・・>
「ソファみたいに、飛び乗ればいんだよ。」
ソファより高いから怖いのかな・・・。
あ、僕がいるから乗りにくいのかも・・・。
「乗ってごらん。」
ベッドから下りて、セイの前足を持ち上げてベッドにかけさせてみた。
<クゥ〜ン・・・>
「そのまま上がればいいんだってば。」



「セイ、えらい!!」
やっとベッドに上がってくれた・・・のはいいけど、掛け布団の上じゃない・・・。
まぁいっか。
「早く寝よう。
 おやすみ、セイ。」
<オンッ!!>
いちいち返事しなくてもいいんだってば。



うっ・・・。
僕のベッドってシングルだから、セイが大きすぎて寝返りが打てない・・・。
僕の思い描いてたのは、映画みたいに犬と仲良く寝ることだったのに、これじゃあ僕のベッドがセイに占領されてしまう・・・。

狭いなぁ・・・。
でもセイと一緒だから、ちょっとくらいガマンしよう。







「・・・ぅ・・・ん・・・。」
今何時だろう・・・。
早く起きてセイを部屋から出さなきゃ・・・。もしパパに見つかったら・・・。
「・・・セイ?・・・セイ、どこ?」
僕のベッドの上にはいない。
ドアだってちゃんと閉まってる。
「わっ!?」
何気なく掛け布団に手を置いたら、布団が冷たく湿ってた・・・。
「これって・・・。」
もしかして・・・セイのおしっこ!?
うわ〜・・・ヤバイなぁ・・・。
そんなことよりセイは!?

だって・・・昨夜寝る時は、ちゃんとドアを閉めたんだから、セイが勝手に出られるはずなんてないんだ。

だから考えられるのは、誰かがドアを開けたってこと。
瀬奈は帰って来たら、すぐに自分の部屋に行くはずで、間違っても僕の部屋の方になんて来ないから、考えられるのはパパだけだ・・・。

どうしよう・・・。
セイを部屋に入れてたのがバレちゃってる・・・。





お仕置きは嫌だけど、素直に謝るしかないよね・・・。
パパ、まだキッチンにいるかなぁ?
キッチンかリビングにいたら謝りやすいけど、書斎だったらわざわざ行くか、お昼まで先延ばしにしなきゃならない。

「パパ・・・おはよう・・・。」
幸か不幸か、パパはキッチンにいた。
「おはよう。」
セイもテーブルの足元で、朝ごはんを食べている。
「昨夜セイが由奈の部屋のドアを引っ掻いていたよ?」
やっぱりパパが開けたんだ。
「ご、ごめんなさいっ!!
 セイと一緒に寝てみたかったから、つい・・・。」
「前に、セイは部屋に入れちゃダメだって言ったよね?」
「はい・・・。
 バレなきゃいいって思って・・・ごめんなさい・・・。」
「・・・そういう問題じゃない。
 ドアが閉まってたら、セイは水も飲めないしトイレにも行けないんだよ?」
パパがため息混じりに言った。
「うん・・・。
 お布団に・・・掛け布団におしっこされた・・・。」
黙ってるわけにもいかないから、お仕置きされる前に話しておこう・・・。
「何だって!?
 それでどうしたの!?」
「部屋に置いてある・・・。」
「掛け布団だけ?
 あの布団は洗濯機で洗えるから、今から洗濯してきなさい。
 洗濯機の使い方は覚えてる?」
「はい・・・。」
お仕置きはされないのかなぁ・・・?

「それと、由奈。」
布団を洗うため、キッチンを出ようとしたら呼び止められた。
「洗濯機を回したらリビングに来なさい。」
「・・・はい・・・。」
やっぱり・・・お仕置きのために呼ばれたんだよね・・・?



「ふわぁぁ〜〜〜・・・。
 あれ?由奈、布団なんか抱えて何やってんの?」
瀬奈だ。
うわっ!!お酒臭〜〜〜い!!
しかもパジャマなのか部屋着なのかわからないの着てるし、髪はボサボサだし・・・。
いい年してだらしないんだから。
「洗濯するんだよ。
 瀬奈こそ今頃起きてきて何やってるのさ。」
「僕はトイレに起きただけだよ。
 これからまだ寝るんだー。」
「・・・・・。」
瀬奈は気楽でいいよね・・・。
「布団、籠に入れておけば起きたら洗ってやるよ。」
「いいよ、自分で洗う。」
おしっこがついてるのに、置いておいたら僕がしたって思われちゃう。
それにパパは、僕に洗いなさいって言ったんだ。





「パパ・・・洗濯してきた・・・。」
僕がリビングに来るまで、パソコン持ち込んで仕事してたのかな・・・。
リビングだと落ち着いて仕事できないよね・・・。
「・・・ごめんなさい。」
「由奈はちゃんと反省をしているみたいだからお説教はしないけど、でも約束を破った分のお仕置きはするからね?」
「はい・・・。」
バレた時からお仕置きされると思ってたけど、イザとなったらやっぱりヤダな・・・。

「あ・・・やっ・・・。」
パパのそばに立っていたら、腕を引っ張られて膝に引き倒された。
「ふぇ・・・ごめんなさい・・・。」
ズボンとパンツを脱がされて、お尻が空気に触れるこの時が一番嫌で、一番後悔する瞬間だ・・・。
「や、痛いっ!!あぁ〜ん・・・パパ・・・ごめんなさぁい!!」
一回めからすごく痛い。

「痛い・・・やだぁ!!」
お仕置きされてる時って、パパが僕のこと、嫌いになるんじゃないかって不安になる・・・。
「パパ・・・ごめんなさい・・・痛いよぉ・・・。」
痛くて泣いちゃうんじゃなく、もしパパが僕を嫌いになったらって・・・そう考えたら悲しくなって泣けてきちゃうんだ・・・。
「うぇ・・・っく・・・ごめ・・なさい・・・。」

「由奈、次に同じことしたらもっと叩くからね。わかった?」
「ぅ・・・えっ・・・はい・・・んっく・・・。」
「じゃあこれで終わり。
 朝ごはん食べる?それともお昼まで待つ?」
僕を膝から下ろすと、パンツとズボンを穿かせてくれた。
「お昼・・・でいい・・・。
 パパが・・・ふぇっく・・・お昼ごはん・・・作るんだよね・・・?」
いつも土日はパパが作ってくれるんだ。
「そうだよ?」
「僕も・・・お昼ごはんの用意・・・手伝う・・・。」
少しでもパパと一緒にいたい・・・。
「うん、手伝ってもらおうかな。
 由奈は何が食べたい?」
「何でもいい?
 オムライスが食べたい・・・。」
「よし、じゃあ布団干したらキッチンへ来て。」
「うんっ!!」
よかった、いつもの優しいパパだ・・・。
お仕置きの後、時々こわいままの時があるんだ。


2005年11月12日(土) 00時26分32秒 公開
■この作品の著作権は如月 深雪にあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
“29”と同じネタです(苦笑)が、久々の由奈ってことで・・・。


<<戻る
作品編集PASSWORD   編集 削除