日常茶飯事<next>31
今日はパパが午後から打ち合わせだからって、出かけてていないんだ。
それに瀬奈も買い物に出かけたから、この家に今は僕一人なんだよね。

勝手に入っちゃダメだって言われてるけど、パパの書斎って大きい机が置いてあって、絨毯もフカフカで僕の大好きな空間なんだ。



鍵は掛かってないんだよね・・・。
おじゃましま〜す・・・て、変かな・・・。
だって自分の家なのに、いつもパパが仕事をしている部屋だから、入る機会なんて滅多になくて、今まで数えるくらいしか入ったことがないんだ。

この家で一番広い部屋なのに、机やソファー、本棚なんかが所狭しと並んでいて、とても狭く感じる。
本棚も辞書類がたくさんあるけど、辞書なんてパソコンに入ってるのに、こんなに必要なのかな・・・。
それにパパは几帳面なのに、書斎だけはいろんな物がごちゃごちゃ山積みになっている。



「あっ!!
セイ、ダメだよ・・・わぁぁ〜〜っ!!!」
どうしよう・・・。
椅子の足元におしっこしちゃった・・・。

と、とりあえず拭かなきゃ。
「セイ、おいで。」
まずセイを書斎から連れ出して、雑巾を絞って・・・。



セイを連れて入ったのが間違いだったな。
「ん、こんな感じかな・・・。」
おしっこの色は取れたけど、臭いは大丈夫かなぁ。
それに拭いた跡もすぐに乾かないし・・・。ドライヤーで乾かそうか・・・。



早くしないと瀬奈が帰ってきちゃう。
やたら気だけが焦っちゃって、なかなか乾かない絨毯がもどかしい。
「あわっ!?やっちゃった!!」
ドライヤーを引っ張ったら、コードが、机の上に積んであった本や原稿用紙を巻き込んで崩してしまった。
おまけに運悪く、飲みかけのコーヒーカップも勢いよくひっくり返った。
「もう・・・また拭かな・・・あぁっ!!」
机の上にこぼれた分はパソコンの下に入り込んで、残りはまたしても絨毯の上に・・・。
「うわぁぁっ!?」
コーヒーでパソコンが壊れてしまわないように慌てて持ち上げたら、絨毯にこぼしたコーヒーの上に足を置いてしまって、余計ヒサンな状態になっちゃった・・・。

瀬奈がさっさと片付けないからこんなことに・・・なんて言ってる場合じゃない。
早く拭かないと瀬奈が帰ってきちゃう。



どうしよう・・・。
絨毯に付いちゃったコーヒーの色が落ちない・・・。
パソコンも下を拭いたけど、中に入り込んでないかなぁ。
原稿用紙も少しだけ汚れちゃってブヨブヨしてる。
パパ・・・気付かないでくれるかなぁ・・・。







「由奈、さっきから箸が進んでないけど、どこか具合が悪いの?」
「う、ううん。どこも悪くないよ!!
 ちょっと考え事してただけ。」
パパは夕食前に帰って来て、まだ書斎へ行ってないから気付いてないんだ。
やっぱり気付かれる前に、自分から謝った方がいいかな・・・。
かな、じゃなくて、いいに決まってるんだけど、勝手に入っちゃダメだって言われてるのに入ったから、お仕置きされるのが怖くて言い出せない・・・。
「何か隠し事でもあるんじゃないの?」
「瀬・・・お兄ちゃんと一緒にしないでよっ!!」
きっと自分がいつも疚(やま)しいことしてるから、僕に対してもそう思うんだ。
でも今回は瀬奈の言う通り・・・。まったく変なとこで鋭いんだから・・・。





夕食の時はあれ以上追求されなかったけど、パパが書斎へ行けば、きっとすぐに気付かれちゃう・・・。
あ〜あ、自分の部屋にいても全然落ち着かないよ・・・。

「由奈、入るよ?」
うわ、パパだ!!きっと気付いたから来たんだ。
「う、うん・・・どうぞ・・・。」

パパは部屋に入って来ると、僕が寝転がっているベッドの端に座った。
「単刀直入に聞くけど、書斎へ入った?」
なんとなく声が怒ってる。
「う、ううん!!入ってないよ!?」
ああっ!!僕のバカ!!すぐにバレちゃうのに!!
「じゃあ誰が飲みかけのコーヒーを片付けてくれたのかな。」
え?片付けた?
溢したことに気付いてないの?
「お・・・兄ちゃんじゃ・・・ないの・・・?」
「瀬奈は片付けるのを忘れてたって言ったよ。」
先に瀬奈に聞いたんだ・・・。
「あ・・・えっと・・・。」
どうしよう・・・。
今更僕だなんて言いづらいよ・・・。
「由奈、起きてこっち向いて話してくれるかな?」

「ご、ごめんなさいっ!!」
起き上がると、パパの顔を見ることもできず、下を向いたまま謝った。
「何が“ごめんなさい”なの?
 わかるように説明してくれる?」
きっとパパは、全部気付いてるんだ。
「えっと・・・。
 最初に・・・セイを連れて入ったらソファーのとこでおしっこしちゃって、それで拭いたんだけど
 なかなか乾かないからドライヤーで乾かそうと思って・・・。」
「そんなところまで汚してたの!?」
こっちは気付いてなかったのか・・・。
「う、うん・・・。
 それでドライヤーのコードを机のとこのコンセントから取ってて、ドライヤーを引っ張ったら
 コーヒーカップに引っ掛かっちゃって・・・。」
「書斎で何をしたかったの?」
「何も・・・ふぇぇ・・・ごめんなさい・・・。」

「入っただけならともかく、あちこち汚してそれを黙っていて、おまけに瀬奈のせいにしようとしたでしょ。」
「ごめ・・んなさい・・・。」
「だからお仕置きはするよ?」
パパは僕の腕を掴むと膝の上に引き倒して、ズボンとパンツを下ろした。
「うわぁぁ〜〜〜ん・・・ごめんなさぁい!!」
悪いことをしたんだから仕方ないけど、でもやっぱりお仕置きは嫌だ。

「痛ぁい!!うっく・・・やぁ・・・やだぁ・・・!!」
お仕置きが嫌で、逃げられないんだけど、ついジタバタしてしまう・・・。
「こら、大人しくしなさい。」
僕の腰を押さえる手に、さっきより力が入った。
「嫌だ・・・やめてパパ・・・。
 ごめんなさ・・いったぁーーーいっ!!」
僕のお尻も痛いけど、きっとパパの手だって痛いんだ・・・。

「わぁぁ〜〜〜ん・・・。」
パパはどんな思いでお仕置きしてるのかな・・・。
勝手に入ってほしくなかった書斎へ入ったこと、パパはどう思ってるんだろう・・・。
そんなことを考えたら、僕のしたことはとても軽率な行為だった・・・。
「ごめんなさい・・・。
 パパ・・・ごめんなさい・・・。」
痛くて・・・悲しいのは、パパも同じだ・・・。ううん、パパの方が僕よりずっと・・・。

「反省しているみたいだから、これで終わりにするよ。」
僕を膝から下ろすとズボンとパンツを上げてくれた。
「・・・ごめんなさい・・・。」
「もういいよ。
でもね、書斎は仕事をする場所だから、むやみやたらと入ってほしくないんだ。
 それは由奈だけじゃなく、瀬奈にも言ってあるから、瀬奈もコーヒーを持って来る以外は入ってないんだ。」
「・・・今度・・・僕もコーヒー持って行っていい?」
「うん、そうだね。
 たまには由奈にも頼もうかな。」
パパを一番感じられる空間だから、書斎は大好きなんだ・・・。


2006年01月04日(水) 13時28分27秒 公開
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■作者からのメッセージ
久々の由奈メインです。最近やたらファザコンになってます・・・。(汗)


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