日常茶飯事<step>9
いよいよ明日から夏休みだ。
登校日はあるけど行かないつもりだから、今日お昼ご飯食べたら涼一の家へ行って、涼一と一緒に髪を染めるんだ。
染めるといっても金髪とかじゃなく、明るいめの茶色だけどね。





「瀬奈、出掛けるの?」
「うん、涼一とこ。
 ちゃんと門限までには帰るよ。」
「気をつけてね。」
「言われなくてもわかってるよ!!」
小学生じゃないんだから、いちいち見送ってくれなくていいのに!!



えーと・・・涼一の家の近くにホームセンターがあるから、そこの薬売り場で染める液を買って・・・。







「うわ、臭っ!!
 意外と臭いんだね・・・。」
「うん、兄貴が染めてる時はいつも臭いんだ。」
大丈夫かなぁ・・・総ちゃんに臭いでバレるかも・・・。
「侑也も一緒に染めればよかったのに・・・。」
誘ったのに拒否されたんだよね。
「侑也は真面目だからなぁ。」
一応・・・僕だって真面目だよ?



20分くらい待てばいいのか・・・。
「涼一、流すまでの間ゲームしよう。」
「うん、何にする?」
「何でもいいけど、僕の持ってないのがいいな。」

うう・・・臭くて何となく頭痛がするような・・・。
時々目に沁みるような感じもするんだ・・・。
でももう少しの我慢だよね。





ん〜・・・地毛とあまり変わってない気もするけど、一目でわかるようじゃ総ちゃんにバレるしね。こんなモンかな。
シャンプーも3回して洗い流したから、臭いも取れたと思うんだけど・・・。







ただいま〜・・・と。
暫くは総ちゃんと接触したくない気分・・・。
でも総ちゃんは家で仕事をしてるんだし、ご飯は一緒に食べるから夕食時には顔を合わせることになるけど。

「瀬奈?帰ったの?」
うわ、会いたくないのにキッチンにいたのか、声をかけてきた。
「う、うん、今帰ったんだ。ただいま。」
返事だけして部屋へ駆け込もう。
「ちょっと早いけどご飯食べ・・・瀬奈!?
 ちょっと待ちなさいっ!!」
げっ!!もしかしてもうバレちゃった!?
「瀬奈っ!!」
「うわっ!!?」
部屋に入る前に捉まっちゃった・・・。
「この髪の毛どうしたの!?染めたの!?」
「う、うん・・・。
 わかる〜?えへへ・・・。」
こうなったら笑って誤魔化すしか・・・。
「涼一くんの家へ行ったんじゃなかったの?」
「行ったよ・・・。
 涼一と一緒に染めたんだ・・・。」
「瀬奈、染めるのは校則で禁止されてるよね?」
「う、うん・・・。
 でも・・・夏休みの間だけだし・・・。」
夏休みが終わる頃には元に戻すんだから・・・。
「知っててどうしてそういうことをするの!!」
「別に誰かに迷惑かけるわけじゃないんだから、ちょっとくらいいいじゃない!!」
「そんな問題じゃないでしょ!?」
「総ちゃんだって染めてるんだからいいじゃない!!」
総ちゃんはもう大人で社会人だけど。
「俺は染めてないよ。
 それに仮に染めてたって、それとこれは別問題でしょ!?」
え?総ちゃんの茶髪って地毛だったの!?
ゆうちゃんは染めてるから、総ちゃんも染めてるんだと、今までずっと思ってた・・・。
「で、でも・・・。」
「“でも”何?」
「え〜と・・・。」
どうしよう・・・。何かいい言い訳ないかな・・・。

「こっちへおいで。お仕置きだ。」
「や、やだ。総ちゃん待って・・・。」
僕の腕を引っ張ると、僕の部屋へ引き摺るように連れて行った。
「総ちゃん待ってよ・・・。総ちゃんってば!!
 校則違反なのはわかってるけど、どうして総ちゃんにお仕置きされなきゃなんないの!?」
学校で注意されたわけでもないのにさ・・・。
「悪いことをしたからに決まってるじゃない。
 俺に隠れて何をコソコソやってるんだ。
 悪いことじゃないって言うなら、どうして堂々と家で染めなかったの?」
「う・・・。
 そ、それは・・・。」
「悪いことだって自覚してたからでしょ?
 帰って来た時もこっそり部屋へ行こうとしてたよね?」
「で、でも・・・だからって・・・。」
「ほら、言い訳だってロクに出てこないじゃない。」
それは総ちゃんが・・・ああ言えばこう言うからで・・・。

「や・・・やだぁっ!!
 総ちゃんやめて!!やだっ!!」
総ちゃんはベッドに腰を掛けると膝に僕を引き倒し、お尻を剥き出しにした。
「痛いっ!!やだっ!!」
もう小学生じゃないのに、お尻を叩くのはやめてよぉ!!
「うっ・・・いったぁいっ!!
 総ちゃん、もおやだぁ!!痛いっ!!」
「何言ってるの!!今始めたばかりじゃない。」
そんなこと言ったって、いつもよりずっと痛いんだもん。
絶対手加減なんてしてないんだ・・・。

「やめてよ・・・総ちゃん!!
 反省してる!!痛ーーーいっ!!」
「いつもいつも言葉だけの反省ね!!」
「そんなことないってば・・・ったぁ!!」
ジタバタしてたら足は総ちゃんの足で押さえ付けられるし、総ちゃんと密着してるから汗が・・・。
「文句があるなら、いつもみたいに道具を使ってもいいんだよ?」
「や、やだやだっ!!ごめんなさいっ!!」
中学生になってからは、やたらと孫の手や布団叩きで叩かれるんだ。
あれは手の比じゃないくらい痛い・・・。

「っく・・・痛っ!!やだ・・・痛い〜〜〜っ!!」
足は動かせないし、手も後ろ手にされちゃったから、お尻が痛くてもどうにもできない。
「ごめんなさい!!
総ちゃん・・・いったぁーーーいっ!!」
「これで終わるけど、明日中に髪を戻すこと。
 戻さないとまたお仕置きするからね!?」
「ええーーーっ!?
 夏休みの終わりでいぃ・・・ったーーーい!!」
「まだ反省してないの!?」
「してるっ!!戻すから・・・やめて・・・。」
うううっ・・・。
こんなの染めるだけ損したじゃない・・・。
お仕置きはされるかもってのはあったけど、夏休み中くらいは染めたままでいさせてくれると思ってたのに・・・。



「さ、ご飯食べるよ。」
「う、うん・・・。」
お尻が痛いのに座りたくないな・・・。

「ほら、クッション。」
「・・・ぅん・・・ありがと。」
座り辛そうにしてたら、リビングからクッションを持って来てくれた。
「総ちゃん・・・本当に染めてないの?」
「染めてないよ。」
「じゃあ・・・髪はいつから伸ばしてるの?」
何年でこんなに長く伸びるのかな・・・。
「高校の終わり・・・デビューしてすぐくらいかなぁ・・・。
 忙しくて散髪に行く時間がなくて、そのままズルズルと。」
「ふぅん・・・。」
「どうして?瀬奈も伸ばしたいの?」
「ううん。
 長いと絡まったりして面倒でしょ?」
僕は絡まない程度の、今の長さが一番いいんだ。
「まぁね。」
それに僕は寝相が悪いみたいだから、寝てる間にすごく絡まりそうだもん。





結局髪は約束通り、次の日にお風呂に入る時に元に戻した・・・。


2006年04月19日(水) 07時59分50秒 公開
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■作者からのメッセージ
久々に『日茶』を書いたらキャラを思い出せず・・・。瀬奈がなんだか別人に・・・。(汗)


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