日常茶飯事65
(総ちゃん視点)





もうそろそろ瀬奈が帰って来る頃だよね。
休憩を兼ねて一緒におやつを食べようかな。



「ただいまーっ!!」
玄関のドアを勢いよく開けると走りながら靴を脱いで、ランドセルも廊下に放り出した。
「おかえり。
 瀬奈、靴をキチンと揃えないとダメじゃない。」
元気に挨拶できるのはいいことだけど、もう少し行儀良くして欲しいな・・・。
「総ちゃんが揃えておいて!!」
俺は瀬奈の小姓じゃないっての!!
「自分で揃えなさい。
 それにランドセルも放り出したままじゃない。」
「うん、それも総ちゃんが・・・。」
「瀬奈!!」
何をそんなに慌ててるんだ?
「自分で片付けないと捨てちゃうよ?」
「いいよ。
 なかったら学校に行かなくて済むもん。」
あのなぁ・・・。
「捨てる前にお仕置きだね。」
立ち止まっている瀬奈を捕まえると小脇に抱え込んだ。
「や、やだっ!!やめて・・・やだぁっ!!」
「いつも言ってるじゃない。
 靴は揃えて脱ぐ、ランドセルは部屋で下ろす、遊びに行く前に宿題は済ませる、って!!」
本当は靴だって、次に履きやすいように後ろ向きに揃えて脱いでほしいんだけど、そこまでしつこく言うと嫌気が差すだろうから、自分で気付くまで気長に待とうと思ってる。
「する・・・ちゃんとするからお尻叩かないで!!」
「だったらお尻を叩かれる前にちゃんとしなさい。」
腕の中でジタバタもがいている瀬奈のお尻を、1発軽く叩いて放してやった。

「手を洗って一緒におやつを食べよう。」
「おやつはいらない!!
 今から涼一ん家でゲームやるんだ。」
ランドセルを手に取ると、部屋へゲームを取りに走っていった。

「ちょっ・・・瀬奈!!宿題は!?」
さっき、遊びに行く前に宿題は済ませることって言ったばかりなのに!!
「今日は宿題、ないんだもん!!
 じゃ行ってきまーす!!」
帰ってきて、3分と経たないうちに遊びに行っちゃったよ・・・。

でも・・・昨日も一昨日も“宿題はない”って言ってなかったっけ?
俺が小学生の頃だって毎日宿題があったのに、週休2日制で授業時間が少なくなってる瀬奈が、3日連続で宿題がないなんてことは考えられないんだけど・・・。





確か『連絡帳』に宿題や時間割なんかが書いてあったはず・・・。
瀬奈のランドセルを勝手に開けるのは気が引けるけど、俺は保護者なんだから子供のことはしっかり把握しておかないと・・・。

なんだ、やっぱり宿題はあるじゃない。
それも漢字ドリルに計算ドリル、算数プリントと大量に。

ん?このプリントは昨日の宿題?
漢字ドリルだって手を付けてないページがちらほら・・・。

そういえば以前にも、週末まで宿題を溜め込んでたことがあったよね。
あの時は懇々とお説教をして、お仕置きも多い目にしたのに痛みを忘れてきて、またサボリ出したのかな。
まだ今回は先生のお便りがないけど、上手く誤魔化したりしてるのか?

早く遊びたい気持ちも、わからないことはないけど・・・。
帰ってきたらもう一度話し合ってみるかな。
話し合ってみるのは、あくまで宿題をする時間についてで、サボった分はお仕置きをしなきゃ。





今日はヒマだし、そろそろ門限だから迎えに行こうかと思っていたら、瀬奈が帰ってきた。
「おかえり。」
「た、ただいま・・・。
 まだ・・・門限過ぎてない・・・よね?」
ゲーム機に時計が内臓されているから、それを確かめながら聞いてきた。
「うん、瀬奈はいつも門限を守らないから、迎えに行こうと思ってたんだ。」
今日は待ち構えていたんじゃなく、たまたま玄関にいたんだよ。
「“いつも”じゃないよ・・・。」
「ところで瀬奈。
 ちょっと聞きたいことがあるから部屋へ行こうか。」
「・・・ぅ・・・ぅん・・・やだ・・・。」
既に泣きそうになってるよ・・・。
「やだ、じゃない。ほら行くよ。」
「やぁぁ〜〜〜っ!!」
座り込もうとした瀬奈を小脇に抱えると、瀬奈の部屋に向かった。



「ふぇぇぇ・・・っん・・・。」
まだ何も言ってないのにな・・・。
「瀬奈、宿題がないって嘘ついたでしょ?」
床に座らせたものの俯いたまま泣いているだけだから、表情が読み取れないし、頷いてもわかり辛いんだよね。
「昨日も一昨日も。
 夜寝る前にしたの?それとも学校で?」
言い訳は聞かないつもりだけど、だからと言って畳み掛けるようにお説教するのはよくないかな・・・?
「・・・夜。」
「遊びたかったから?」
「・・・・・。」
軽く頷いた・・・のかな?よくわからなかったけど。
「瀬奈はどうしても遊びたいみたいだから、宿題は夜にやってもいいよ。
 その代わり眠くなっても、宿題が終わらないと寝られないよ?それでもいい?」
「ぅ・・・?
 帰って・・・すぐじゃなくても・・・いいの?」
「だって、毎日嘘ついてまで遊びたいんでしょう?」
その挙句に毎日お仕置きをするのはかわいそうだ。
「・・・ぅん・・・。」
「だから夜でもいいよ。」
ただ、ちょっと心配なのは、いつも遅くても10時前には寝ていたから、眠くなって勉強が
ちゃんと頭に入るかどうかなんだよね・・・。

「で、宿題は夜でいいんだけどね、3日連続で嘘をついたことに対するお仕置きはするからね!?」
「・・・・・。」
戸惑ったような顔をして俺を見上げた。
「おいで。」
瀬奈の腕を引っ張ると、膝に押さえつけお尻を剥き出しにする。
「や、やだぁっ!!」
慌ててズボンを押さえるけど、もう脱がしたから、ちょっとやそっとじゃ戻せないよ。
「嫌っ・・・やめて総ちゃん!!やだぁ!!」
さっきは黙ったまま俯いていたけど、こういうところはいつもの瀬奈だ。
「ダメ、嘘をついたお仕置きはキチンとしておかないとね。
 そうしないと、瀬奈はすぐに約束事を忘れちゃうでしょ?」
忘れるのか、わざとなのかは怪しいところだけれど。
「うわぁぁーーーんっ!!
 やだぁ!!痛ぁいっ!!」
手足をバタつかせて抵抗する姿も、いつもの瀬奈だ。
「嫌ぁぁぁっ!!総ちゃんやめて!!嫌だぁ!!」
そんなに嫌なら、もう少し約束事をキチンと守ってほしいね。
「痛い!!やぁ・・・やだぁ!!
 もう嘘つかないから・・・約束守るからやめてぇ!!」
瀬奈の場合、それが嘘だって。
こんなにたくさん叩きたくはないんだけど、こうも毎日だとお仕置きの効果がないような気がして、つい多い目に叩いてしまう。
その結果、もしかしたら叩かれることに慣れてしまったんじゃないかって思うこともしばしば。

「総ちゃん・・・やだぁ、ごめんなさいっ!!」
かわいそうだけど、すぐには終われないな。
前だって結構叩いたし、それより少ないのはどうかなぁ・・・。
ただ、そのことを瀬奈が覚えてるかどうかだけどね。
「うわぁぁーーーん!!
 嫌・・・痛い・・・痛いぃっ!!」
瀬奈は色白な方だからすぐに赤くなるけれど、元に戻るのも早いんだよね。

でも、もうかなり赤くなったからこの辺りで終わってやろうかな。
おやつを食べてない分、おなかだって空いてるだろうし。
「これで終わるけど、今日から宿題はちゃんとやるんだよ?わかった!?」
「う・・・ふぇっ・・・・っん・・・わか・・った・・・。」
最後に一発、強い目に叩いて膝から下ろした。

瀬奈の“わかった”は、痛さに耐えられず口先だけの“わかった”だろうけど。
多分、何に対しての“わかった”なのかは理解してないだろうけど、言ったこと全てを理解してなくてもいい、と俺は思ってるんだ。言ったことを一つでも覚えていてくれれば、と。
その割にはお仕置きの機会が多いけどね・・・。



「ほら、涙を拭いて・・・。
 おやつ食べなかったからおなか空いたでしょ?ご飯食べようか?」
「ふぇ・・・ぅん・・・。」
俺は瀬奈の涙をティッシュで拭ってやり、キッチンへ連れて行った。


2006年07月05日(水) 09時01分38秒 公開
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■作者からのメッセージ
なんだか・・・総ちゃんが瀬奈のお仕置きを、楽しんでるような感じになってしまったような・・・。


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