日常茶飯事66
今日は5時間目に習字があるんだ。
僕、習字の授業って嫌いなんだよね。でも算数や国語の授業に比べれば、ずっとマシだけど。



名字の、この『森崎』の『崎』と、名前の『瀬奈』の『瀬』が書きにくいんだ。
気が付けば、黒色の四角になってるんだもん・・・。
侑也は『沢田』だし、涼一も『河村』で比較的書きやすい字ばかりだよね。いいなぁ・・・。
僕だって前の名字だったら『若月』で書きやすかったのに。



「森崎、ちゃんと名前を書かなきゃだめだよ?」
「書いてるよ!!」
なんだよ、小倉はちょっと字がきれいだからって、わざわざイヤミ言うなよ。感じ悪〜〜〜い!!
「墨のつけ過ぎだよ。
 それに力も入れ過ぎ・・・。」
「うるさいなぁ!!」
「何よ、せっかくアドバイスしてあげてるのに。」
「余計なお世話だよ!!バ〜〜〜カ!!」
小倉にアドバイスなんてしてもらいたくないよ。
だいたい小倉の場合、アドバイスってより、ただ単に見下されてる感じがするんだよね。
「自分がバカだからって、私までバカ呼ばわりしないでよ!!」
「向こう行けよ。ブス。」
向こう、たって席は隣りだけど・・・。
「な・・・誰がブスよ!?」
「小倉に決まってんじゃん。」
「森崎だってチビのくせに!!」
「うるさいっ!!」
僕が一番気にしてることを。
「きゃあぁっ!?
 何するのよ!?」
「ブスだからかわいくしてやったんだよ。」
よくマンガであるように、習字の筆でほっぺにグルグルのウズマキを描いてやったんだ。
「もぉ・・・やだぁ!!
 服にまでついちゃったじゃない!!」
「わっ!?」
小倉は仕返しに、僕の顔に筆を押し付けて洗面所へ走って行った。

「侑也〜〜〜・・・ティッシュ貸して〜・・・。」
今日に限って持って来るの忘れちゃったんだよね。
「うん・・・でも拭いただけじゃ落ちないんじゃないか?」
「後で顔洗うよ・・・。」
洗っても薄っすら跡が残ると思うけど。

「瀬奈。」
「何?涼・・・ひゃ。」
「あはは・・・似合うよ〜。」
「な、何書いたの!?」
涼一に呼ばれて振り向いたら、筆で顔に何か書かれたんだ。
「鏡見て来いよ。」
言われなくても見て来るよ!!
でもその前に仕返しを・・・。
「ぎゃっ!!何すんだよ!?」
「仕返し。」



涼一には×印を書かれていた。
顔は洗ったけど、やっぱり薄っすら跡が残っちゃったな。
総ちゃんに笑われるかな。それとも気付かないかな?

ん?
何だか教室が騒がしいような・・・。
「・・・・・。」
何人かが同じように、筆で顔に落書きをして遊んでいて、先生がそれを止めている最中だった。





はぁぁ〜〜〜。
そんなに大したことじゃないのに習字の先生が担任に言いつけたから、遊んでたみんなと放課後に残されて、お説教されちゃったじゃないか。
帰りが遅くなっちゃったから、今日は侑也達と遊べないかな・・・。



「ただい・・・。」
玄関のドアを開けると総ちゃんが立っていた。
「お帰り。
 話があるから部屋へ行こうか。」
声が怒ってる・・・。
僕、怒られるようなこと何もしてないはずなのに・・・。
もしかして・・・習字の授業のこと、先生が総ちゃんに連絡した!?

「そこへ座って。」
部屋に入ると総ちゃんは机の横のスペースを指差した。
「・・・・・。」
ランドセルを置き、言われるままに座った。
「先生から聞いたんだけど、習字の時間に筆を振り回して遊んでたんだって?」
「違うよ・・・。
 振り回してなんかないよ・・・。」
遊んでたのだって少しの間だし。
「でも瀬奈が最初に始めたんでしょ?
 杏ちゃんにも随分ひどいことをしたって聞いたけど?」
「だってあれは小倉が余計なこと言うから・・・。小倉が悪いんだもん・・・。」
「瀬奈!!」
「だって・・・ふぇ・・っえ・・・僕は悪くないもん〜・・・。」
小倉のアドバイスなんかいらないのに。
「どうして“ごめんなさい”が言えないの!!
 おいで。お仕置きだ!!」
「やぁだぁぁ〜〜〜っ!!」
総ちゃんは僕の腕を引っ張ると、膝に引き倒した。
「嫌だぁ〜〜〜!!
 総ちゃん、やめて・・・嫌ぁっ!!」
手足をバタつかせて抵抗してみても簡単にズボンとパンツを引き下ろされて、お尻を剥き出しにされた。
「杏ちゃんの服まで汚して・・・。
 杏ちゃんに謝ってないでしょ!?」
「僕だって汚されたもん!!」
小倉か涼一か、どっちかわかんないけど・・・。
「全くもう・・・。全然反省しないんだから!!」
「痛いっ!!
 やだぁ!!痛い・・・総ちゃんやめて・・・痛いぃっ!!」
ちょっとくらいは反省してるのに。

「嫌・・・痛い、痛いっ!!」
正座の膝の上でお尻を叩かれるのって、床が目の前にあって何だか嫌だ。
「嫌じゃないよ。
 反省するまでやめないからね!?」
「嫌だぁ!!反省し・・・痛い!!・・・反省したからやめてっ!!」
「してないじゃない。」
「うわぁぁーーーん!!痛いーーーっ!!」
お尻も痛いけど、それを紛らわせるために手足をバタつかせたら、床に当たって痛い。
「こら、逃げられないよ!?」
お尻が痛くて、総ちゃんの膝から逃げようともがいたけど、膝の上に引き戻されちゃった・・・。
「嫌・・・嫌だぁ。
 痛い!!やめて・・・総ちゃ・・・痛ぁいっ!!」
腰を強く押さえられてるから、もう逃げられないし、少しも動くことができない。



「痛い!!
 やぁ・・・反省してる!!してるからやめて・・・。
 あぁーーーん!!痛いよぉ・・・ごめんなさぁいっ!!」
「何を反省したの?」
えっと・・・。
「・・・筆・・・ふぇぇっ・・・振り回したこと・・・?」
「やっぱり反省してないじゃない。」
「いったぁーーーいっ!!」
僕の答えを聞いた総ちゃんが、再び手を振り下ろした。
「してる・・・してるよぉ〜・・・。」
痛い・・・もう嫌だぁ・・・。
「ごめ・・ごめんなさい!!ごめんなさぁい・・・。」
「どうしてもっと早く言えないの・・・。」
総ちゃんは叩くのをやめて、大きく溜め息をついた。
「だってぇ・・・。」
始めたのは僕だけど、僕だけが悪いんじゃないもん・・・。
「うぇぇ〜〜〜ん・・・。痛いよぉ〜・・・。」
「瀬奈のことだから、どうせ杏ちゃんに謝ってないんでしょ。
 明日、ちゃんと謝るんだよ?わかった?杏ちゃんに聞くからね?」
「う、うん・・・わかった・・・。」
総ちゃんは僕を膝から下ろすと、ズボンとパンツを穿かせてくれた。





次の日の朝、仕方なく小倉に謝ったら、お互い様だって小倉も謝ってくれて意外だった。

2006年12月09日(土) 17時11分46秒 公開
■この作品の著作権は如月 深雪にあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
前回は総ちゃん視点だったため、瀬奈視点の『日茶』は10ヶ月ぶり!?


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