日常茶飯事<next>38
今日は土曜日で学校が休みだからセイの散歩に行きたいなぁ・・・と思ってるんだけど、パパはお仕事が忙しいし、瀬奈は朝に帰ってきてずっと寝ているし・・・。



「セイ、おいで!!」
仕方がないから庭で遊ぶことにした。僕ん家が広い庭でよかった。
セイの散歩はいつもパパか瀬奈が昼間に行っちゃうから、僕が一緒の時ってほとんどないんだよね。
「ボールで遊・・・うわっ!?」
セイを呼んだらすごい勢いで走って来て、僕の肩に両手をかけた。
「やめ・・・セイやめて・・・。」
嬉しいのはわかるけど、セイの顔は僕の頭の上だしヨダレが垂れてくるよぉ・・・。
それに力を抜いたら僕が押し倒されちゃう。
「いい子にしないと遊んであげないからね!?」
<ウォン!!>
一声吠えてお座りをしたけど・・・。
「本当にわかってるの?」
<ウォン、オン>
「じゃあボールで遊ぼう。
 投げるから取ってくるんだよ?」
<・・・・・>
「セイ、ボールを取りに行かなきゃダメだよ!!」
セイはボールを捕りに行かずに、ただ座って僕の顔を見つめているだけだ。
「セイってば!!」
<ウォン!!>
「わっ!!」
セイのことを怒鳴ったら立ち上がって、また僕の肩に手をかけてきた。

「由奈、セイと遊んでるの?・・・というより、由奈がセイに遊ばれてるみたいだね・・・。」
「パパ!!
 休憩?一緒にセイの散歩に行こうよ!!」
パパはキッチンの窓から声をかけてきた。
「うん、コーヒーを飲みに来ただけ。
 散歩に行きたいのはやまやまだけど、締め切りが近いからね・・・。」
ちょっと休憩しに来ただけかぁ・・・。
「パパ、僕がセイの散歩に行ってきてもいい?」
「ダメだよ。由奈一人じゃ無理だよ。
 もうセイの方が由奈より大きいんだよ?」
確かに僕より大きくて、体重も僕より重いけど・・・。
「大丈夫だよ。セイはおとなしいもん・・・。」
「でも何かの拍子に興奮して暴れたりしたら、由奈にはどうすることもできないでしょ?」
「・・・うん・・・。」
でもセイの散歩用の首輪は首が絞まるようになってるから、そんなに暴れたりしないと思うんだけどな。
「また今度一緒に行こうね?」
「うん・・・わかった・・・。」
パパの“今度”っていつかなぁ・・・。





あ〜あ・・・つまんないなぁ。
パパはすぐに書斎へ行っちゃったし、今日は誰とも遊ぶ約束してないし・・・。
退屈〜〜〜!!
やっぱり僕が散歩に連れて行こうっと。

「セイ、おいで。散歩に行こう。」
この首輪をつけて、それから首が絞まるようにリードはこのリングに付けるんだったよね。
<ウォン!!ウォン!!>
「し〜〜〜っ!
 セイ、静かにして。」
パパにダメだって言われてるのに、気付かれちゃうじゃない。
<ウォン!!>
「セイってば!!」
セイはいつも庭で遊ばせたり家の中で過ごしていて、散歩に出るのは毎日じゃないから、
すごく嬉しそうな仕草をしてる。
いくら広い庭だからって、やっぱり散歩には行きたいよね?
「よし、できた。
 セイ、行こう!!」
<ウォン、オン>
「わっ・・・。」
すごく嬉しそうに跳(と)んだり跳(は)ねたり。



パパに気付かれなくてよかった。
「どこへ行こうか・・・。」
いつもは裏道なんかの、あまり人や車が通らないところを散歩させてるみたいだけど、僕は公園の方にでも行ってみようかな。
セイは散歩に出てから全然引っ張らないし走らなくてこんなにもおとなしいのに、どうして僕にはセイを散歩させるのは無理だって言うんだろう・・・。

「セイ、どうしたの?わっ!?」
立ち止まったまま耳と鼻をピクピクさせていたかと思うと、急に走り出した。
「待ってセイ!!
 ダメだよ、止まっ・・・嫌ーーーっ!!」
僕の力じゃ全然止まらないし、それどころか僕が引っ張られちゃう!!
首だって絞まってるはずなのに、どうしてこんなに引っ張るの!?苦しくないの!?
「あぁっ!!セイ、ダメ・・・止まって!!」
ついにリードは僕の手を離れ、セイはすぐ目の前にいる、小さな犬を散歩させているおじさんに飛び掛った。

「ご、ごめんなさいっ!!」
おじさんが倒れなくて良かった・・・。
「びっくりしたよ・・・。
 坊やの犬?大きいねぇ・・・。」
「ごめんなさい・・・。
 こら!!セイ、ダメだよ・・・離れて!!」
セイは尻尾を思い切り振って、おじさんのそばを離れようとしない。
「坊やの犬はうちのショコラと遊びたいみたいだね。」
「え?そうなの?」
そういえばおじさんの犬にじゃれついているような・・・。
「でもショコラはちょっと怖がってるみたいだけど。」
「セイ、ダメだよ・・・帰ろうよ・・・。」
おじさんのそばを離れないし、僕一人じゃ連れて帰れないよ・・・。

「セイ〜〜〜・・・。
 動いてよ・・・もう・・どうしよう・・・。」
セイは一向におじさんのそばを離れようとしないし、僕泣きたくなってきちゃった・・・。
「・・・坊やの家は近く?」
「う・・・はい・・・。」
「おじさんが坊やの犬を連れて帰ってあげるよ・・・。
 坊やはショコラを連れてくれるかい?」
「う、うん・・・。」
そう言っておじさんはセイのリードを持ってくれた。



「力が強いね。おじさんでも引っ張られそうだよ。」
「あの・・・ありがとう・・ございます・・・。
 僕・・・セイはおとなしいから大丈夫だと思って・・・。」
あんなに引っ張るなんて思ってもみなかった・・・。
「坊やの犬は好奇心がいっぱいなんだよ。」
そうなのかなぁ・・・。

「由奈っ!!」
え?
後ろから僕を呼ぶ声がした。
「パパ!?」
「坊やのお父さん?」
「うん。」
「じゃあもう大丈夫だね。」
「息子がご迷惑をお掛けしたみたいで申し訳ありませんでした。」
「お気になさらずに。坊や、またね。」
おじさんはそう言ってセイのリードをパパに渡し、元来た道を戻って行った。

「パパ・・・ごめんなさい・・・。」
見つからないうちに帰るはずだったのに・・・。
「庭を見たら由奈もセイもいないし、もしかしてって思って散歩道具を見たらなくなってるし・・・。
 由奈には無理だからダメだって言ったでしょ。」
「ごめんなさい・・・。」
パパは締め切りが近いって言ってたのに・・・。
「セイが暴れたから、さっきのおじさんがリードを持ってくれたんじゃないの?」
「うん・・・。
 おじさんの犬から離れなくて・・・。」
パパはいつも散歩させてるから、セイの行動をよくわかってるんだ・・・。
「もしも小さい子やお年寄りに飛びついたらどうなってたと思うの!!」
僕だって飛びつかれたら押し倒されそうになるんだから、僕より力の弱い人だったら・・・。
「それにあのおじさんだって忙しかったかもしれないんだよ!?」
「・・・ごめんなさい。」
「もしも誰かに怪我をさせたら謝るくらいじゃ済まないんだよ!?」
「うん・・・わかってる・・・ごめ・・なさぃ・・・。」
もし本当にそうなったら、パパにすごく迷惑かけちゃう・・・。
僕は俯いたまま黙ってしまった。
喋ると涙が止まらなくなるから・・・。





その後はずっと無言のまま家に帰った。
ほんの5分くらいの道のりなのに、すごく長い時間に感じた。

「由奈、入るよ?」
「・・・うん。」
セイの足を洗うためにお風呂に連れて行っていたパパが、僕の部屋に戻ってきた。
「言いたいことは全部帰り道で言ったし、由奈もちゃんとわかってるみたいだから、もう何も言わないよ?」
「・・・ぅん・・・。」
それでも僕の部屋に来ているのはお仕置きをするからだ。
「じゃあさっさと済ませようか。」
やっぱりお仕置きをされるんだ・・・。

「ぅ・・やっ・・・。」
向かい合って床に正座していたパパが僕の腕を掴んで、膝の上にうつ伏せにした。
「嫌じゃないよ。
 ダメだって言ったのに、言うことを聞かない由奈が悪いんでしょ!?」
「・・・ごめ・・ふぇ・・っ・・なさい・・・。」
パパは僕のズボンとパンツを一緒に、勢いよく引き下ろした。
「嫌っ!!嫌・・・ごめんなさ・・痛っ!!」
まだ1回しか叩かれてないのに、ヒリヒリしてとっても痛い。

「うぅ・・・嫌だぁ、痛い。
 パパやめて・・・あぁーーーん!!」
パパのことは大好きだけど、やっぱりお仕置きをされるのは嫌で、思わず膝から逃げ出しそうになる。
「こら、おとなしくしなさい。」
「痛い!!嫌・・・パパ・・・。」
パパは僕の体を抱え直すと、またお尻を叩き始めた。

「パパもうやめて!!
 痛い・・・痛い痛いっ!!」
最初は真ん中の方が痛かったけど、今はお尻全体が痛い。
「ごめんなさい・・・やっ・・・あ。」
お尻が痛くてつい後ろに手を回したら、手を押さえられてしまった。
「やだぁ・・・パパ・・・パパごめんなさい。」
最初からわかってたのに・・・。
パパは忙しいのに、結局パパの手を煩わすことになっちゃった・・・。

「うぇぇーーーん!!
 ごめ・・なさい・・・。」
「もう謝らなくていいよ。」
「うっ・・・ふぇぇ〜・・・っ。」
パパはズボンとパンツを上げると膝から下ろしてくれた。

「明日の午後には原稿が上がると思うから、そしたら一緒にセイの散歩に行こう。
 “また今度”なんて言わずに、ちゃんといつだって言えばよかったね・・・。」
「ぅうん・・・。
 僕がいけなかったんだもん・・・。」
大丈夫だって決め付けて、勝手に散歩に連れ出しちゃったからいけないんだ・・・。
「僕、別に明日じゃなくてもいいよ?
 今日・・・ちょっとだけ一緒に散歩できたもん・・・。」
お仕置きはされたけど、それでも一緒にいれて嬉しかった。







次の日の午後、約束通りパパと一緒にセイの散歩をした。

2007年02月02日(金) 23時16分34秒 公開
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■作者からのメッセージ
モデルはウチの家の犬・・・。散歩に行くのが苦痛です。(笑)


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