日常茶飯事68
夏休みになって、総ちゃんの実家に来ている。
総ちゃんは相変わらず部屋にこもりきりだし、僕は何もすることがなくて暇だ。
ゲームも飽きちゃったしね・・・。

「瀬奈、夏休みの宿題はやったの?」
総ちゃんだ。
「まだだよ。
 暑くてする気にならないもん。」
宿題は持って来たけど、夏休みに入ってまだ全然やってないんだ・・・。
「エアコン入れればいいじゃない。」
「それでもする気になれない・・・。」
それにエアコンを入れると、おじいちゃんがうるさいしね。
「見てあげるから朝のうちにやれば?」
朝から勉強なんてしたくないよ・・・。
「総ちゃん、仕事しなくていいの?」
もう終わったのかなぁ・・・。
「うん、もうちょっとだからね。」
「ふ〜ん・・・。
 僕、外に遊びに行ってくる。」
勉強するくらいなら、ちょっとくらい暑くても外にいる方がマシだ。
「何して遊ぶの?
 遠くに行っちゃダメだよ?」
「うん、そのへん散歩してくるだけ。」
クワガタとか獲りに行こうかなぁ・・・。
でも、持って帰ったら一人で行ったのがバレちゃうし・・・。
一人で行っちゃダメって言われてるんだよね。
「気をつけて行くんだよ?」
「わかってるよぉ。」
総ちゃんはいちいちうるさいんだから!!





あ!!
こんなところに川があるなんて知らなかった・・・。
それも結構大きい川だ。

川原に下りてみたいけど、草だらけで下りるところが見当たらないよ・・・。
こんな僕の背よりも高い草だらけのとこ、かき分けて下りるのも毒ヘビとかいそうで恐いし、それにもうそろそろ帰らなきゃ・・・。

そうだ!!お昼からもう一度来よう。
上流か下流に下りるところがあるはず・・・。







「ごちそうさま!!
 総ちゃん、外へ遊びに行ってくるね!!」
お昼ご飯を食べ終わって遊びに出ようとしたら、総ちゃんに呼び止められた。
「ダメだよ。
 こんな炎天下に外に出たら日射病とか熱射病になっちゃうよ。」
「帽子かぶるし大丈夫だよ。」
総ちゃんはいつも家の中にいて太陽に当たらないから、そんな心配するんだよ。
「それに午後からはお墓参りに行くから。」
「お墓参り?」
「そう。森崎家のお墓参り。」
僕にはあまり関係ないと思うんだけど・・・。
でも森崎家のお墓へ行くのって初めてだから、どんなところにあるのか興味ある。
「じゃあ家にいるよ・・・。」
お墓参りに行くまでゲームでもしてよっかな。







森崎のお墓は、隣の町内の外れの小高い山の中腹に、他の家のお墓に埋もれるように建っていた。
何だか由緒ある家柄みたいで、やたら古い墓石やお地蔵様があった。
そういえばお仏壇にもやたら古そうなお位牌があったなぁ・・・。



「総ちゃん、僕さきに行って川原で待ってる。」
お昼前に行った川の岸に下りる小道も、お墓参りに来る途中に見つけたんだ。
「ここに来る時に通ったあの川?
あの川は昨日の雨で増水して水量は増えてるし、流れも速くなってるから一人で近寄っちゃダメだよ。
どうしても行きたいなら日を改めよう?」
「気を付けるから大丈夫だよ。」
「瀬奈!!待ちなさい!!」
僕は総ちゃんが止めるのを振り切って先に走り出した。





総ちゃんは心配性だなぁ。
でも言われてみると水量は多い気も・・・。流れはよくわかんない・・・。
とにかく川原に下りてみよっと。

わ、小魚がいる。
やっぱり網を持って、改めて遊びに来たいなぁ・・・。
ついでだから水もさわってみよう。
「わぁぁ!!冷たぁ〜〜〜い!!」
冷たくって気持ちいい!!

そういえばこの川原って大きい石がいっぱいある。
向こうの方にも行ってみよっと。

「瀬奈!!
 早く上がっておいで。」
あ、総ちゃん・・・もう追いついたんだ・・・。
でもこうやって石の上を歩くのって楽しい。
「わっ!?」
「瀬奈っ!!?」
「そ、総ちゃ〜〜〜ん・・・。」
総ちゃんが呼んでるのを無視して遊んでたら、足を滑らせて川に落っこちちゃった・・・。
「瀬奈!!
 手を離しちゃダメだよ!!」
「う、うん・・・。」
でも総ちゃんが言ってたように、見た目より流れが速くて手を離しそうになる・・・。
それに足だって川底に着いてるのに立てない・・・。

「瀬奈!!」
すぐに駆け寄ってきた総ちゃんが僕の手を掴むと一気に引き上げ、そして僕を抱き締めた。
「総ちゃ〜〜〜ん・・・。」
総ちゃんがいてくれてよかった・・・。
もし僕一人だったら・・・。
「瀬奈、どこも怪我してない?水は?飲んでない?」
「ぅん・・・大丈夫・・・。
ちょっとびっくりしただけ・・・。」
「よかった・・・。
 俺もビックリしたよ・・・。」
「・・・ご、ごめ・・・ひゃあぁっ!?」
謝りかけた時、総ちゃんがいきなり立て膝をついて、僕の体を押さえ付けた。

「危ないからダメだって言ったのに、言うこと聞かないからこんなことになるんだよ!?」
「あぁーーーん!!ごめんなさい!!」
濡れて体に纏わりついているズボンとパンツを器用に脱がせると、お尻を叩き始めた。
「やだっ!!総ちゃん・・・嫌っ!!痛い!!」
何もこんなところでお仕置きしなくったって・・・。
「やめて!!嫌・・・嫌だぁっ!!」
いくら周りに人がいないからって、いつ来るかわからないし、車だっていつ通るかわからない・・・。
「痛い!!やめて、放して・・・総ちゃん!!
 うわぁ〜〜〜ん!!やだやだ・・・痛ぁーーーいっ!!」
痛いのは本当だけど、でも誰も見てなくても、外でお尻を叩かれるのって痛い以上に恥ずかしい!!
「ごめんなさぁい!!反省・・してる!!
 だからもうやめて・・・やめてよぉっ!!総ちゃん!!」
濡れてるお尻を叩かれるのって気持ち悪い・・・。
体も濡れてるし、総ちゃんだって気持ち悪いはずだ・・・。
「本当に反省してるの!?」
「してる・・・してるよぉ!!痛っ!!」
足をバタバタさせてたら、思い切り石にぶつけちゃった・・・。

「・・・本当に・・・何ともなくてよかったよ・・・。」
手を止めて、しばらくたってからそう言うと、僕を膝から下ろしてくれた。
「・・・ごめ・・ふぇぇ・・っく・・ごめ・・ん・・なさい・・・。
 総ちゃ・・・ゲーム・・・川に・・落っことした・・・うわぁぁーーーん!!!」
「え!?ゲーム!?
 ゲームってゲーム機本体!?」
「ぅん・・・ポケットに・・・っん・・・入れてあった・・・。」
「・・・きっと流れて行っちゃったよ・・・。
 瀬奈が悪いんだから仕方ないよ。」
「うわぁぁーーーん!!!」
そんなの言われなくたってわかってる・・・。
「・・・また・・・買ってあげるから・・・。」
「・・・ホント・・・?
 ソフトも・・・入ってたんだよ・・・?」
「ソフトも買ってあげるよ・・・。
 とにかく今は帰ろう。帰って着替えないと・・・。」
「・・・ぅん・・・。」
せっかく・・・もうちょっとで全クリだったのに・・・。







またゲーム機を買ってくれるって、その場しのぎで言ったのかと思ってたら、本当に買ってくれた。
それも総ちゃんにしては珍しく次の日に。
もし買ってくれるとしても、絶対向こうに帰ってからだと思ってたのに・・・。






2007年08月03日(金) 11時02分30秒 公開
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■作者からのメッセージ
珍しく季節に合ったネタです。(笑)小学生瀬奈も久しぶりに書いた気が・・・。


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