日常茶飯事(SS)−子は親の鎹−
(非スパ)





5日前から、おばあちゃんがゆうちゃんの家に泊まってる。
何でもおじいちゃんとケンカして、家を出て来たんだとか・・・。
ゆうちゃんの家に行くんなら、うちに来てくれたらいいのに・・・と思ってたら、うちには中沢さんがいて、中沢さんが気を使うからダメなんだって。



「ちょっと!!総司郎!!
 母さんをどうにかしてよ!!」
なぜだか、ゆうちゃんが怒鳴り込んできた。
「どうにかって・・・。
 母さんがいたら、家事をしてくれるから楽できるじゃない。」
「彼氏を呼べないじゃない。」
“彼氏”・・・?
「ゆうちゃんって、男なのに男の人が好きなの?」
「なっ・・・。
 何言ってんのよ!!私は女よ!?」
「でも男でしょ?」
だって、ゆうちゃんは総ちゃんのお兄ちゃんなんだから。
「女だって言ってるでしょ!!しつこいわね!!」
「瀬奈、そのへんで止めておかないと勇一郎が怒るよ?」
「本名で呼ぶなって言ってるだろ!!」
結局、総ちゃんが怒らせてるんじゃない・・・。

「とにかく、そんなことより母さんをどうにかしなさいよ!!」
「放っておけばそのうち帰るんじゃないの?」
「私は今すぐ帰ってもらいたいのよ!!
 母さんがどうしても帰らないって言うなら、アンタが引き取りなさいよ!!」
この会話って、なんだか昨日見た嫁姑バトルのドラマみたいだ。
「喧嘩の原因は親父なんだから、親父が頭を下げれば帰るんじゃない?」
「あの、白を黒と言わせる親父が頭を下げると思う!?」
「お互い頑固で素直じゃないからなぁ・・・。」
総ちゃんは溜め息を付くと電話を手に取った。

「どこへ電話するの?
 アンタ親父を説得する気!?」
「そんな無駄なことするわけないじゃない。」
じゃあ、おばあちゃんを説得するのかなぁ・・・?
僕は、コードレスの受話器ボタンを押す総ちゃんの指先を覗き込んだ。
やっぱりゆうちゃん家の電話番号だ。

『はい、森崎です。』
受話器の向こうから声が聞こえてきた。
「・・・・・。」
おばあちゃんは電話に出たみたいなのに、総ちゃんは黙ったままだ。

「・・・久美子、俺が悪かった。帰ってきてくれ。」
総ちゃんは、そう言い終わると同時に電話を切った。
「「・・・!!」」
「ア、 アンタ何やってんの・・・。」
「総ちゃん、すごい!!おじいちゃんの声ソックリ!!」
「これで・・・帰ると思うよ?・・・多分・・・。」
前から総ちゃんの声って、おじいちゃんの声に似てるなって思ってたけど・・・。
「総ちゃん、おばあちゃんはおじいちゃんだって思ったかな!?」
「バレたらどうするのよっ!!バカッ!!
 今よりひどい状況になるじゃない!!」
「お互い素直じゃないから、バレることはないよ。
 でも万が一ってこともあるし、勇一郎は家に帰って母さんの様子を見てきてよ。」
「本名で呼ぶなって言ってるだろーがっ!!」
ゆうちゃんて、本名に反応するの早いなぁ。
「とにかく様子を見て連絡してよ。」
「わかったわよ!!」
ゆうちゃんは怒りながら帰って行った。



「母さんをどうにかしろって言うからどうにかしてやったのに、何だって俺が怒鳴られなきゃならないんだ。」
「総ちゃんが本名で呼ぶからじゃない。」
「今更違う名前でなんて呼べないよ。
 俺は仕事してくるから、瀬奈は宿題でもしておいで。」
「う、うん・・・。」
宿題なんてしたくないな・・・。
でも総ちゃんは仕事するみたいだから、しばらくしたらリビングに戻ってきてゲームしようっと。
「瀬奈、後で宿題のチェックするからね。」
「えぇっ!?」
「ちゃんとやっておかないとお仕置きだよ。」
「・・・わかったよ・・・。」
宿題いっぱいあるのに、全部やってたらゲームができなくなっちゃう・・・。
でもお仕置きは嫌だからやるしかないよね・・・。





宿題を始めて暫くしたら、ゆうちゃんから電話がかかってきた。
総ちゃんの声を、やっぱりおじいちゃんだと思ったらしくて、夕方には帰るって言ってた。





2007年10月01日(月) 22時12分01秒 公開
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